どんな景気後退、どんな不況でも、すべて恐慌と呼ばないと気のすまない人もいますが、私は反対。そう呼ぶには3つの条件が必要だと思います。第1、「不意に」です。予測を越えてです。1963年、アメリカのケネディ大統領の経済諮問委員会の委員トービンは、「われわれはいまや半年先の経済成長率、失業率、インフレ率をコンマ以下2桁の精度で予測できる」と豪語しましたが、もちろん、はかない強がりでした。たしかに経済学は予測能力を向上させてはきた。でもまだそんなに威張れたものではありません。それに、では予測が完全にできさえすればパニックは起きないか、避けられるか。それが問題です。かりに「20××年の何月何日に東京に関東大震災クラスの地震あり」と正確に予測できるとして、パニックは起こらないか。その予測が出ることで、パニックが起こるにちがいありません。ということは、第2に、事態のコントロールがむずかしい、制御不能性が特徴だということです。そして第3に、制御困難の理由として、事態はそれ自身のエネルギー、メカニズムで累積的に悪化する、つまり累積性があることです。どこかの企業が倒産すると、そこと取引していた別の企業も倒産に追い込まれるというような連鎖反応が経済にはある。山火事が焼くべき山がなくなれば止まるのと同様、行きつく所まで行くまでは、事態が自動的に進むという性格が経済にはあります。恐慌が特定の産業の範囲内でおさまるものを部分恐慌、経済全体まで広がるものを、大恐慌と言います。史上に名高いのは1929年の大恐慌、世界恐慌です。そしていま1990年の大恐慌恐発生を宣言する声もあります。恐慌は人間が市場経済を制御する能力を失うときに起こります。
どの会社にも、社是や社訓があります。その多くは「ムダをなくせ」とか「お客さまを第一に」といったように、経営効率の向上をめざしており、事業の使命(企業ミッション)を堂々とうたったものは案外少ないそうです。優秀な商品やサービスを安く提供するには、品質の管理を徹底しなければなりません。戦前の日本には粗悪品が多く、世界中から「安かろう、悪かろう」といわれていました。日本企業に品質管理の重要さを教えたのは、戦後に来日したアメリカ人のW・E・デミング博士でした。品質管理で優秀な成績をあげた会社に「デミング賞」が贈られることになったのをきっかけに、全国でQC(QualityControl)運動が展開されるようになりました。おかげでいま、日本の品質管理は世界でもトップレベルに達し、経営効率と国際競争力を高める原動力になっています。
値段の高い安いは消費者にもすぐにわかるが、品質の善し悪しなどはよほどの知識がなくてはわかるはずもない。実際、消費者がモノを買うときには、いくつかの同種の商品のなかからひとつを選びだすという選択をくださなくてはならないわけだが、その選択の基準は何であろうか。価格はたしかにひとつの尺度であるが、今日多くの商品の場合は「ブランド」と呼ばれるものが選択の乱準になっているのである。しかも消費者は「商品そのものを買っているのではなく、その商品がもっている価値を買っている」と考えられているが、商品の価値には一般にふたつあるという。ひとつはモノの価値であり、いまひとつは情報価値である。モノの価値とは商品そのものがもつ物理的な価値である。自動車でいえばスピードや1リットル当たりの走行距離などである。