欧州通貨単位(ECU)は円やドル、マルクなどのように実在する通貨ではなく、人工的に作り出された「人工通貨」ということができるでしょう。為替レートの計算単位であるとともに、当局間の資金決裁や、最近では民間の貿易決裁などでもこのECUが使われるようになりました。ECUは欧州連合(EU)の加盟国通貨を加重平均した「バスケット」で構成され、各通貨の構成比率は各国の経済力を反映して決められています。EU加盟国が増えると、加盟国に一定の構成比率を与える一方で、ドイツなどの通貨の比率を下げることで調整します。ECUの利用方法では、各国間の資金決裁のほか、EUの予算もECU建てで表示されます。さらに最近では民間の利用も増えており、ECU建てのトラベラーズ・チェックやECU建て債券の発行なども増えています。ただ、九三年夏の通貨危機の際にはECU建て債券の発行が急減、市場の厚みの点ではまだドルや円建ての債券に追いつかないのが実情です。さらに将来、単一通貨を導人した時の名称については各国の思惑が複雑に絡んでおり、ドイツはマルクの名前の使用にこだわって、単一通貨の名前をECUとすることに抵抗しています。